■ □ ■ ある家族のひと時 ■ □ ■ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「レシーパパごほんよんで」
レオルドはとてとてとお気に入りの絵本を持ってきてソファーに座っているレセスターを見上げて言った。
「いいよ。レオおいで」
そうレセスターが言うとレオルドは嬉しそうによじよじとソファーに上ってレセスターの膝にちょこんと座った。レオルドはすでに絵本を読んでもらう事が嬉しくて仕方がないようで瞳がキラキラとしていた。
(ふふふ…かわいい。)
後ろからレオルドの頭に軽くキスをしてレセスターは絵本を読み始めた。
「おや、レオいい所に座っているね」
レセスターとレオルドが絵本を読んでしばらくするとクラウゼルが仕事から帰って来た。
「…そして二人は仲良く暮らしました。おしまい。クラウ、おかえり」
絵本が調度終わる所だったので最後まで読み終わってからレセスターはクラウゼルに声をかけた。
「父上おかえりなさい〜」
「はい、ただいま」
そう言ってクラウゼルはレオルドの頭に手を伸ばし撫でながらレセスターの唇にただいまのキスを落とした。
「クラウ、レオのお目めが落ちそうになってるよ」
レセスターがほとんどクラウゼルと唇が触れ合うような位置からレオルドを見下ろしてくすくす笑った。実際レオルドは目をぱちくりさせて二人を見ていた。
「本当だ。後ろ頭を叩いたらお目めが飛び出てきそうだ」
とクラウゼルがレオルドの後ろ頭に手を添えると慌ててレオルドは自分の目を隠した。
「おめめ、でたらだめよ」
「くっくっくっ」
「クラウ〜子どもをからかうもんじゃないよ」
レセスターも笑いながらも嬉しそうに笑うクラウゼルを窘めた。
「おめめとれない?」
「大丈夫だよ」
レセスターがそういうとやっとレオルドは安心したように手を外した。そしてレセスターとクラウゼルを見上げて言った。
「レオもちゅ〜する」
そう言うと止める間もなくレオルドはレセスターの唇にキスをした。
「レオはおマセさんだね」
とレセスターはくすくすと我が子の可愛い行動を喜んでいる。
「こらこらこら、レシーは俺のだぞ?」
「やっ!レオのレシーぱぱ!!」
ぷぅっと膨れてレオルドはレセスターにしがみついた。
「レ〜オ〜こうしてやる」
レオルドの後ろから抱き上げて思いっきり高い高いをクラウゼルはしてあげた。
「きゃぁ!!」
レオルドは大喜びで声を立てて笑っている。そしてクラウゼルもレオルドの唇にキスをしてあげる。
「レオ、ちゅ〜は好きな子にするんだよ?」
レセスターがレオルドに優しい目で見ながら話し掛けた。
「?クラウ父上レオにちゅ〜したよ?」
「そりゃあ、父上はレシーのちゅ〜を返してもらったのさ」
けらけらと笑いながらクラウゼルはレオルドを抱きしめている。
「むぅ〜〜レオもレシーぱぱがいい」
「ダメだなレシーは俺のものだから、あげられないな」
そう言ってレシーの隣にレオルドを抱っこしたまま座って軽くレセスターの頬にクラウゼルはキスをした。
「きっと、レオにも素敵な大好きな人が見つかるよ」
「レオも?」
「そう。大好きな人が見つかって、その人も好きになってくれたらその人にキスをすると、とっても幸せになれるよ」
「…レシーぱぱもクラウ父上も幸せ?」
「「もちろん」」
「レオは俺達の大事な大事な子どもだよ」
クラウゼルはそう言って我が子の頬にキスを落として、レセスターにレオルドを渡した。
「さぁ…レオ寝ようか?」
「はぁい」
そう言って二人は寝室に向かった。クラウゼルはお風呂と着替えに向かった。
「クラウ…レオはどんな子が好きになるのかな?」
「さぁな…あの子が選んだ子ならきっといい子だよ。何せ俺の子だからな」
クラウゼルは殆どレセスターと唇が触れ合うような状態で軽く唇を合わせながら囁いた。くすくすとレセスターは笑った。
「…んっ…そうだね…楽しみだな…」
「さぁ…もうレオの話は終わりだ。…レシー…俺を我が子に嫉妬するバカな男にしたいのか?」
「ふふふ…そうかもね……んぁっ…」
「…覚悟しとけよ」
クラウゼルは二人だけの時のみ使う低く艶めいた声で囁きながらレセスターの耳朶を噛んだ。
夫婦の夜は更けていった。
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