@ @ @愛したい、必要とされたい、可愛がりたい@ @ @ ・・1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「なんでも言う事聞いて、お前つまらないよ」
今日、彼氏だった男の女との浮気現場を見て…責められてフラれたのは何故か僕だった。
どうして?
彼が来いって言ったら何を差し置いても側に行った。
抱かせろって言われたら…ろくな愛撫無しでも抱かれた。
急用ができたって予定がキャンセルされてもそれが僕の誕生日でも文句一つ言わなかった。
彼がこれ欲しいって言ったら頑張って手に入れた。
どうして?
それがいけなかったの?
僕は落ち込みに落ち込んでしまった。よかれと思ってしてきた…全ての事が…全部が裏目に出てしまったという事だろうか…僕にはやっぱりあんなかっこいい彼氏なんて出来るはずなかったんだろうな。
彼がすっごくモテて…女どころか男にも不自由しない人がなんの取り柄もない僕の相手なんてしてくれている方が不思議だったんだろうな…セックスだって痛いばかりで気持ち良くもなんともなかった。
でも彼が気持ち良くなれたらって我慢したけど…僕の不感症な所がだめだったのかもしれない…
色々考えても結局行き着くのは僕が彼に相応しく無かったんだという事だけだった。
とぼとぼと自宅に帰る薄暗い道を悲しみにくれながら歩いた。そんな道の途中で奇妙なモノを見つけてしまった。
人が行き倒れているのだ…。
この世の中で道に行き倒れている人を見つけられる確率はいったいどれくらいだろうか…とあまりの出来事に思考が変な方にいってしまった。
「あの…大丈夫ですか?」
倒れているのだから大丈夫なわけはないのだが…思わずそう聞いてしまった。
「…ん…」
微かに答えが返ってきた。もう秋も深まってきていてかなり夜は寒くなってきている。こんな所に放置しておく事もできなかった。
「抱えますよ」
そう言いながら倒れている人を仰向けにして腕を肩に乗せてひっぱりあげた。
意識が全くないわけではないが…かなり酒臭い。
飲んでいるのだろう。
恐らく自分より頭一個分くらい背の高い男を半ば引きずるようにして自分の家へ連れて帰って来ていた。
普通の状態の僕ならこんな事しなかった。
すぐに警察に連絡を入れてそれで全てを終わらせていたと思う。
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