@ @ @愛したい、必要とされたい、可愛がりたい@ @ @ ・・11・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
虎太郎は足や背中まで綺麗に洗うとスポンジの泡を全部しごき取って掌にのせた。
「…こた?」
「ん」
何をするつもりなのかと思ったら泡だらけの手で僕の大事な所にそっと触れてきたのだ。
「ちょ…こた!そこはいいよ?」
「……ん」
慌てて手を押し留めると虎太郎はもし仮にあったとしたら尻尾も耳も垂れ下がっているのではないだろうか?というくらいしぼんで見えた。
無表情でも小さな機微がわかるようになってきた僕にはそう感じられた。それを見てしまうと僕はこれ以上止める事が出来そうに無かった。
「ん〜〜…じゃあ…そっとしてね?」
そう言って僕は結局虎太郎の手を離した。
そっと虎太郎は感謝でもするように僕の頭に頬を摺り寄せて僕への…イタズラ?なのかな??を再開した。
大事な所に右手が来てそっともむように触れてくる。
「……ん……っ…」
ん〜…そんな所を触られてて…おかしいと思うんだけど…
マッサージをされているような気持ちよさ以外湧き上がってくる感じが無い。
僕不感症だしなぁ…
なんの反応も無いこんな所を触って虎太郎は楽しいのかなぁ…。
僕にとっては優しく触れる感触はとても穏やかな気持ちになる。
しばらく経つと虎太郎は右手で洗面器にお湯をすくって身体にかけてくれた。
「…ありがとう」
僕は後ろを向いて虎太郎にお礼を言った。
虎太郎は顔を摺り寄せてきた。
その頭に腕を回して緩く抱きしめた。
その後は一緒にお風呂に入って温まった。
それなりに大きな作りではあるが大の男が二人も入るのは多少窮屈だが規格外である親父サイズに作ってあるのでそれに近い虎太郎でも問題は無い。
ただそこに僕が加わると…といっても僕も規格外で小さいからそんなに影響も無いか…。
「気持ちいいね」
「ん」
声をかけると虎太郎は小さく返事をしてその大きな掌でお湯をすくって僕の肩にかけてくれた。
どうしても虎太郎に乗り上げている僕は身体が少し湯の表面からはみ出てしまう。それを気遣ってくれたのだという事が分かった。
その後はお風呂から上がりお互いに体を拭きあった。
僕は自分の事は自分でするつもりだったが虎太郎はまた無言で要求してきたので遠慮なくしてもらったのだ。
なんとなく居間でだらだらと過ごした後また僕の布団でぴったりと抱き合って眠った。
誰か側にいてくれる体温の嬉しさを僕は始めて虎太郎を通して知る事ができたように思う。
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