● ○ 勘違い王国〜氷の瞳サイド〜● ○ 

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「…柳…」
リィズウェルは柳と一緒に滞在している部屋に入ると同時に柳を背後からゆるく抱きしめた。

「リィズ…」
リィズウェルの身体が小刻みに震えている事が抱き付かれている柳にも感じる事ができる。やはりリィズウェルは柳の火傷の痕を、誰よりも気にしていたのが分かるというものだった。

隠そうとしていても知っていた。柳が抱かれ疲れて気を失うようにして眠ってしまった時に…柳の火傷の痕がある場所を傷つけないようにことさら優しく触っている指先から悲しみが伝わってきていた。

そっと薄目を開けるとそこには柳が目を覚ましている事に気が付かないくらいに切ないアイスブルーの瞳で見つめているリィズの姿があった。


「リィズ…もう…悲しまないでね…」
小さな声で胸元にあるリィズウェルの腕に触れて、柳は囁いた。リィズウェルが顔を上げた事を感じた。柳はリィズウェルの方へ向き直って胸元に顔を埋めた。


「もう…大丈夫だから…」
「柳…」
リィズウェルは極力自分自身が悲しんでいることを柳に気が付かれない様に気を使ってきた。

でもあまりにも自分を責めるあまりに柳に気が付かれていたのは不覚だった。


それによって柳はどれだけ悲しんだだろう。


どれだけ胸を痛めただろう。


今まで誰かに心のうちを悟られるようなことは無かった。隠そうとしても柳には気づかれていたのだ。伴侶とはこういうものなのだろうか…とリィズウェルは思った。

「すまなかった…私もまだまだ未熟なものだ…」
「リィズウェル…」
柳を胸元に抱えなおしてまた抱きしめた。そっと身体を離したリィズウェルは柳の在りし日の姿を取り戻した頬にそっとキスを落とした。

二人は部屋の中に入りそっとベッドに座って互いを抱きしめた。

リィズウェルはやはり確かめるように柳の火傷があった場所を痕があった時同様に優しく触れた。

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