■ □ 幸せな村の愛の樹■ □ 

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朝うとうとと目覚めるとなんとなく暖かく心地がいい。

何か大きなものに守られているような安心感。


コトコトと安心できる音を聞きながらそちらの方に愛樹は体を寄せて納得できる位置に体を潜り込ませてまた眠りに入ろうとした。


しかしふと…どうしてコトコトという音を寝ているのに感じるのか?目覚まし時計?違う…?うにゃうにゃと考えている愛樹の頭にそっと触れて髪の毛をすいている感触を感じる。


そこにきてやっと愛樹はそっと目を開けた。


目の前には白い布が見える。ぼーっとしばらく見た後それをたどって目を上に向けると精悍な美貌が見えた。


「おはよう。アイキ…具合はどうだ?」
エディセルドは穏やかに笑みをうかべながら愛樹を見下ろしていた。


しかしまだ寝ぼけている愛樹にはあまり理解できていない。

ぽや〜っとその顔をみて自分が握っている彼のシワになってしまった服を見て…しばらく考えこむ様子をみせた。


エディセルドはその様子を急かせるわけでもなく面白そうに眺めていた。ようやく目が覚めてきたように愛樹の瞳に光が入り始めるまでエディセルドはずっと見つめていた。



「うわぁっ!ごっごめんなさいっ!服シワシワにしちゃった…」
いきなり跳び起きて座り込みエディセルドの愛樹が握っていたあたりの服を申し訳なさそうに触れた。


「かまうことはないこれは寝る為に用意した服だからシワになるのは当たり前だからな」
堪え切れないように笑いながら愛樹の額に触れた。


「もう熱もないようだな」
そう言いながら愛樹の前髪を払ってくれた。




「………なんで一緒に寝てたの?」
その手を心地よく感じる自分に戸惑いながら愛樹はエディセルドに訪ねた。



「愛樹は意識が飛んでいたから覚えていないだろうが…抱き上げてベッドに降ろそうとしたら嫌がって、私の服を離さなかったのだ。私も愛樹の具合も気になったしそれなら…と」
エディセルドは悪戯っぽい表情をしてみせた。



それを聞いていたたまれないのは愛樹だ。頭で理解したとたんトマトのように耳まで真っ赤になってしまった。
「うわ〜っごめん」




「大丈夫。役得だったよ」
そう話しながらエディセルドは体を起こしてベッドから降りた。


実際にエディセルドも久しぶりに熟睡できた。他人が側にいるとその気配に反応してしまうので自分の屋敷に居る時は特に夜はあまり自分の側に人を配置しなかった。思いのほか愛樹の抱き心地が良かった事もあるのだろうなとエディセルドは心の中で思った。




「朝食をとるとしよう。食べられるか?」
「あ、うんもう大丈夫だよ」
そういうとエディセルドは自然な仕草で愛樹を抱き上げようとした。



「あぁっ!もう大丈夫!自分で歩けるから!」
まるでエディセルドは愛樹を小さな子どもだと思っている感じだ。彼の大きな腕を必死に両手を伸ばして止めた。



「昨日熱があったのに本当に大丈夫か?」
心配そうにエディセルドは愛樹に訪ねた。やっぱり幼い子どもと思われているようだ。


がっくりしながら愛樹はベッドから降りてエディセルドの隣に立ったが子ども扱いも仕方がないかもしれない。



頭一つ分以上エディセルドは愛樹より背が高い。愛樹は隠すように溜息をついた。

 

 

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