■ □ ■幸せな村の愛の樹■ □ ■ ・・17・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「もう!皆でオレをだしにして…」
アレクは部屋の窓の方に行って拗ねていた。それも皆温かい目で見守っていた。
「本当にアレクとアリクは性格が違いますね」
「そうだな…容姿は似ているのに不思議なものだ」
レセスターとクラウゼルが拗ねているアレクとどっかりとソファを陣取っているアリクを見ながら言った。
「そうだろ?アイツはオレのような繊細な神経を持っていないんだよ」
真剣な顔で両手を交差して胸の前に持ってきた。
「それのどこがですか…」
アーリアは呆れた様子でアリクを見た。
「お前が繊細だったら世の中の人間皆ガラス細工より繊細になってしまうな」
微かに口角を上げてエディセルドも答えた。
「ねぇ…あいき、きょううまれたひ?」
突然幼い声が入ってきた。レオルドだ。
「そう、23歳になったよ」
愛樹は微笑みながらこの中で一番小さな少年に微笑みかけた。
「おたんじょうびかい、しないの?」
周りの大人を見回して言った。
「…そうだな。愛樹の誕生日会をしようか」
「えぇ!いいよ。エディセルドさん、おめでとう、言ってくれた。それで充分」
エディセルドが手をアゴに当てて愛樹に問い掛けたが、今まで禄に誕生日会等をしてきた記憶もない愛樹なので返ってしてくれると言われたほうが困惑を隠せない。
本当に愛樹はエディセルドに「おめでとう」とほんの一言もらった段階で充分嬉しかったのだ。そんな控えめな愛樹にその場にいた人達は好感を持った。
「やった!お誕生日会!よし!パッとやるぞ!」
膝を大きく叩いて立ち上がったのはアリクだ。見るからにお祭好きそうな彼はいきいきとした表情で周りを見渡した。
その後はもう派手に誕生日会を催してくれた。
アリクとアレクが中心に立って思いっきり盛り上げてくれたので…愛樹にとっての初めての誕生日は生涯忘れる事は決してないとても嬉しい出来事として愛樹の胸にしまわれた。
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