■ □ 幸せな村の愛の樹■ □ 

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「エディセルドさん…初めからオレに親切。だからかもしれない…」
「アイキ…」
「エディセルドさん。オ…レ…普通と違う。それでもいい?」
一番何よりも恐れていた事を愛樹は聞いた。


エディセルドは今まで親切にしてくれていたけれど…愛樹の身体の事、過去の事を知ったら離れて行ってしまうのではないかとそれがいつも不安で言い出せなかった。


「嫌いにならないで…」
愛樹は辛い過去を話している間中泣いたりしなかった。しかし気丈にも我慢しているのだろう。声が震えている。


「嫌ったりしない。私はアイキの伴侶だ。それにどんな事があろうともアイキはアイキだ。他のなにものでもない」
エディセルドはそういって愛樹を横から縮こまっている身体と心ごと胸に抱きしめた。


正直に言うと…エディセルドは初めて会った時から愛樹が気になっていたのだ。

それは毎日を愛樹と言葉の勉強をしたり、一緒に食事をしたり、眠ったりする所から愛しさはどんどん募っていくばかりだった。しかし愛樹の外見はこちらで言う所の13〜4歳にしか見えない。

だから今まではすくなくとも3年〜5年は愛樹が成長するまで待つつもりだった。愛樹が心身ともに成長したその時に真の伴侶としてともに生きていきたいと思っていた。

今日自分と5歳しか違わない事に歓喜した自分が居た事をエディセルドは感じていた。


「エディセルドさん…エディセルドさん…」
愛樹は強張っていた身体をようやく解いてエディセルドの首に腕を回した。


「アイキ…もう私はあなたの伴侶だ。さん付けではなく…エディセルド…もしくはエディと呼んでくれ…」
「エディ…オレの名前も愛樹。発音ちょっと違う」
「愛樹」
「そう」
愛樹は涙で濡れそぼっている顔をエディセルドの好きな笑顔に変えた。


「愛樹」
エディセルドは愛樹の目元に唇を落とした。そのままこめかみに頬に鼻の頭に…そして唇に…初めて触れた。

愛樹は一瞬全身を強張らせたが不快感が全くなく反対に心地いいことに気がついて…触れるだけの口付けを受けた。


「…私も現金なものだ…」
「何が?」
「愛樹が私と5歳しか変わらない事が分かったらもうこれだ……」


「エディ、28歳?オレ13歳なら15歳違いか…三つの一違いならそう思うかもね」
愛樹は『思っていた年齢より実際は3分の1の年の差だったって分かったらそうなるよね』と言いたかったのだが言葉がはっきり思いつかず三つの一違いといういい方になってしまった。


{28歳の人が13歳と結婚したのなら気になるよね…ロリコンとかいうやつか。五つ違いなら許容範囲だよね。安心したのもわかる気がする}
愛樹はエディセルドが意図している所と少し違う部分を気にしていた。


「…もう少し理性があるほうだと思っていたが…愛樹の前ではそうはいかないらしい」
苦笑をしつつもエディセルドは愛樹を抱き上げて寝室に連れて行った。


愛樹は突然の行動に驚いて思わずエディセルドの首にしがみついた。

 

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