■ □ 幸せな村の愛の樹■ □ 

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「え〜オホン。それはいいとして…例の光の件だけど…」
アリクはごまかした後に真剣な表情になってもう一つの件を話しだした。


「あぁ…エディの伴侶が出現した同時刻に発見された不思議な光の事か…レセスも強い力を感じたと言っていたな…」
クラウゼルが再び難しい顔をした。


「光が出現した辺りに俺自身が行ってみたが…木が少し折れて葉が散っているだけで特に何も見つける事はできなかった。アーリアも同行したんだが……光が出現した痕跡もないほど力を感じられなかったらしい」
アリクは短い金髪を掻き回しながら困惑したような表情を見せる。


「環境的には大丈夫か……人為的被害は?」
「特に住人が怪我をしたなどは聞かなかった。夜になり始めだったぶん光の異様に気付いている人は多かったな。アーリアがそこは説明してくれたからかなり不安は払拭されているだろう。……一つ変化としては辺境の村に医者父子が光の出現の後に移住してきたらしい。接触は僅かだったが特に不審な点はなかった」
アリクはしばらく不審な所があった地方へ視察団として行っていたのだ。


「そうか…白き悪魔の仕業ではなかったのだな………それなら良かった……」
「白き悪魔か…天災か…人為的要因なのか…」
エディセルドとクラウゼルはそっと呟いた。




この国にはその昔このような光の出現があった時に、大陸の三分の一が一気に破壊されてしまった事があったのだ。

現在そこは砂漠となってしまっている。


その時も様々な災害に見舞われ国は一気に疲弊してしまった。それからだ、国を守る魔術の進歩を促すために、その出来事を教訓に魔術学校が建設されたのは。


もちろんそれはもう何百年も前の話になってしまうので少し真実と違っている所もあったかもしれないが…。


だが今、王の事もあり、国が不安定になるのを避けなければいけない立場の将軍であるエディセルドにとっては頭の痛い話だった。




「恐らくこっちにお前の伴侶を呼び出した時の反動なんじゃないかと思うぞ?」

「…愛樹の時の?」
クラウゼルはエディセルドの伏せている頭にそっと話しかけた。


「アーリアもそう言っていたな」
「こちらにアイキ殿を呼び出した時に魔力の片鱗が王宮の神殿外に漏れてしまったのではないかと言っていた。そもそも人一人を出現させるほどの強力な魔法陣を使用したんだ。センジハー殿のいる大神殿と違って王宮神殿内の、普段の結界だけでは耐えられなかったのだろうと言う事だ。」


「…そうだな。まぁ被害がなかった事だけは救いだ。一応アリクその後の動向も調べておいてくれるか?クラウゼル、厄介な人物だか彼を抑える手伝いをしてくれ」


「ほいよ。まかせとけ」
「了解」


「アリク、クラウゼル頼む」
そこで男達の会合はお開きになった。

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