■ □ 幸せな村の愛の樹■ □ 

・・23・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「おはようございます!」
「おはよう、ココリ」
愛樹は微笑みながらココリに挨拶をしてそのまま朝食に移った。
この日は早くエディセルドが起きていたので愛樹一人だけの食事となった。



食事が終わって暫くするとエディセルドがアレクを連れて愛樹の部屋にやってきた。

「おはよう愛樹。食事は終わったか?」
「おはよう。うん、食べた、美味しかった」
「そうか」
短い挨拶をかわした後にエディセルドは愛樹にアレクの事を切り出した。

「今日からアレクに愛樹の警護をしてもらう事になった。…私が常に側にいる事が出来ればいいのだがそういうわけにもいかない…愛樹…いいだろうか?」
エディセルドは心配そうに愛樹の顔を覗き込んだ。

あまりに愛樹が驚いた表情をするので心配になったのだ。



「俺に警護…ダメ。エディの側いる。俺、家いる。安全!!」
愛樹は必死に首を横に振って自分よりもエディセルドの方に警護が必要である事を訴えた。

「私こそ大丈夫だ。心配はいらない。たまには外にでたりしたいだろうから…そんな時に年が近いものがいるのもいいだろう?」
エディセルドがアレクを警護につける本当の理由を伏せて軽く愛樹に伝える。

もちろんアレクは年長組の理由も知った上で愛樹の警護に付くのを承知している。とにかく理由が理由なのでアレクはこくこくと頷いた。


「……アレク…いいの?」
今度はアレクの方を愛樹は向いた。

「もちろん。知っている人の方が俺もいいし騎士としての初仕事としては申し分ないよ」
アリクからあらかたの話を聞いていたアレクも愛樹に心配をかけないようにしなくてはと思っている部分もあるが今の台詞の半分位は本音だ。

いきなり知らない人につくという方が普通であるにも関わらず知っている人につく方が何倍も気楽である事は確かだ。

もちろん手を抜くつもりなんて全く無い。というより身内である分しっかり守らなくてはという気持ちを新たにしていた。


「ありがとう。アレク、お願いします」
アレクに向かって愛樹は深々と頭を下げた。

「さて、早速で悪いが私は仕事にいくよ。今日は教師としてアーリアかレセスターに来てもらう事にしているから彼らから愛樹が学びたい事を習うといいだろう」
エディセルドは二人に愛樹の教師役をお願いしていた。


本当の所を言えば自分が教師となっていろいろな事を教えてやりたいがもろもろの事情により、そういうわけにもいかない。

他から教師を引っ張ってくるのは愛樹の事情により出来ないのでアーリア、レセスターの頭脳組に愛樹の事を頼むことにしたのだ。


「本当?」
「あぁ本当だ。聞きたい事をしっかり聞いておくといい。それじゃぁ愛樹行ってきます」
「いってらっしゃい」
短いやり取りを愛樹とした後にエディセルドは部屋を後にした。




「愛樹様、アーリア様とレセスター様がこられました」
ココリがそう言って部屋に飛び込んできた。それまでは護衛なのにダメだというアレクを説き伏せて話をしながら一緒にお茶をしていたのだ。

そしてアレクにも簡単な絵本での読み方などを訪ねて穏やかな朝のひと時を過ごしていた。

「きた?行く」
愛樹は立ち上がってココリの居る入り口の方へと向かったがそれよりも早くココリの後ろに居たレセスター、アーリア、レオルドが部屋の中に入ってきたので入り口の前で彼らを迎える形になった。


「やぁ、おはよう…久しぶり」
「おはようございます。お久しぶりです」
「〜〜〜ぶり〜〜〜!!」
順番に彼らは挨拶をしてきた。一人前にレオルドも背伸びをして挨拶をした。

「おはよう、ござます。今日、先生、する、お願いします」
愛樹は二人が今日の勉強を見てくれる事を聞いていたので深々と頭を下げた。

「こちらこそ、よろしく」
「私ではあまりたいした事をお教えすることが出来ないと思いますが…精一杯頑張りますね」
ニコニコとレセスターとアーリアは愛樹の様子を好ましそうに見ていた。


「アレク!アレク!」
「だぁ…!!おチビ〜〜俺はこれでも仕事中なんだよ〜〜〜」

その横でアレクとレオルドの微笑ましい光景も繰り広げられていた。

 

 *