@  @愛したい、必要とされたい、可愛がりたい  

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すぐに僕は自分のベッドの下に客用の布団を敷いた。

僕は父子家庭で父親は去年から海外に出張に行ってしまった。だから家に誰かがいるというのが不思議な感じがする。


「ひけたよ…おいで」
そう声をかけると扉の前で所在無さげに立っていた彼は待っていたように僕の所まで歩いてきた。

しかし本当に身長が高い。

敷居は頭を少し下げないと通れないみたいだ。

僕は165くらいだ。父が180くらいなので少し作りの大きめの所を選んだのにそれより大きい。

190近いんじゃないかな…以上かな…あぁ…立たせたままじゃいけないな…


電気を小さくともした部屋に入り、手を引いて虎太朗を布団に連れていきそこに座らせ、僕は自分のベッドへと入った。


「ここで寝てね…おやすみ」
ベッド元のランプも消して布団に僕は潜り込んだ。本当に不思議な感じ。こんなに側に誰かがいて眠るなんて…もにゃもにゃと考えていたら…ちょっと眠れなくなってしまった。


ふと虎太朗はもう眠ったのかな?と思ってそっちを見てびっくりしてしまった。
「…こた…」


声をかけると布団にあぐらをかいて俯いたままだった虎太朗はぴこっと音がでそうな勢いで顔をあげた。


「ねむれないの?」
「ん」
虎太朗は小さく頷いてじっと僕の方を見ている。僕はちょっと逡巡したけど…結局考えるまでもなく根負けしてしまった。


「ほら…おいで」
端によって布団をめくってみせると虎太朗はもそもそとベッドに上がって来た。このベッドは僕が小さい時に買ったものだけど…大きくなれ!!と父の願いによりちょっと大きい。父でも余裕を持って寝られるものだった。虎太朗と一緒でも大丈夫だろうと思った。


できるだけ壁側によっていたが虎太朗は僕にぴったりくっついてきた。
「こた?」
「ん」
少し位置をずらして自分のおさまりをよくした。


結局虎太朗は僕の肩に顔を埋め、胸にしがみつくように腕をまわして足も絡めている。すこし僕より低い体温が少しずつ馴染んでくるのがわかった。

そっと腕で頭を包み込むようにすると変に力のはいっていたらしい虎太朗の肩から力が抜けるのがわかった。


「おやすみ」
そういって虎太朗の髪に頬をよせた。応えなんて期待していなかったが…返ってきた。


「おやすみ…由良…」
小さな低い声で囁いてきた。

顔立ちに似合っていい声をしているなと感じた。


虎太朗と抱き合っている事で温かくなってきた僕のまぶたは自然と下がってきて眠ってしまった。

もう別れたばかりの彼氏の事なんか頭の中にはなくてただ虎太朗の温もりと腕の感触だけを感じていた。


虎太朗が今日会ったばかりで素性なんて全く分からない人間である事もいまとなってはどうでもよくなってしまった。ただこの穏やかな時間を感じていたかった。

 

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