@  @愛したい、必要とされたい、可愛がりたい  

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それから急いで目玉焼きとベーコンを焼いたりサラダの野菜を切ったりみそ汁を作ったりした。


ほぼ洋食なのだがみそ汁を朝飲まないと朝が始まらないような気がするので和でも洋でも中でも朝は必ずみそ汁を作るのが我が家流だ。

というか父から我が家流にされたというか…慣らされたというか…昨日の夜は御飯を炊いていないのでとにかく洋食という事で…


「はい、できたよ。どーぞ」
焼いたパン、目玉焼きベーコンに、サラダ、みそ汁をずらりと並べた。


「いただきます」
「…いただきます」
僕に続いて虎太朗も挨拶を言って食べ始めた。僕は確かに結構食べるのが遅いんだけど…僕が3分の1も食べてない内に彼は食べ終わってしまった。


「…足りない?」
「……ん」
虎太朗は微かに困ったような顔をして小さく頷いた。


「まってて」
僕は急いでパンを二枚追加で焼いて野菜を取り出して刻み炒めた後、みそ汁にたっぷり入れて煮込んだ。豚肉も炒めてその中に入れた。そして丼に盛って出した。


「即席の豚汁で悪いんだけど…どうぞ」
焼けたパンと一緒に豚汁も出した。

「おかわりもあるし、パンもたりなかったらまだあるからね」
そう言って笑いかけるとぽやっとした…かっこよく綺麗に調った顔立ちだけど…かわいい表情をしてみせた。


「…ありがとう…いただきます」
「どうぞ」
そう言うと彼は気持ちいいくらいもりもりと食べてあっという間におかわりの豚汁もパンも食べてしまった。僕の何倍も食べたのに食べ終わるのは僕より少し遅いくらいだった。


「いっぱい食べたね。ごめんね。お腹空いていたんだね。僕がいっぱい寝ていたから…」
僕がぐーすか寝ている時に彼はもう目が覚めていたから…もしかしたら僕が起きるまで待っていたのかもしれない。


「昨日は朝から何も食べてなかったんだ」
「もしかして…お酒だけ?」
「ん」
虎太朗が昨日かなりお酒臭かったのは昨日一日中飲んでいたからみたいだった。


「頭は?痛くない?」
そっと手の平で額に触れると虎太朗は少し目を見開いて僕の方を見た。…アレ?なんか変な事言ったかな?


「……痛くない。酒には強いんだ…」
「そうなんだ。よかった」
僕は虎太朗から離れると使った器具を全て洗って片付けた。その間も虎太朗は何をするでもなく僕の後ろ姿を見つめていた。


「よし、終わり」
全て片付け終わると一旦洗面所に行ってから、僕はダイニングの椅子に座っていた虎太朗を後ろ引き連れてリビングのソファに一緒に座った。


「これ昨日着ていた服ね」
さっき洗濯乾燥機から取り出しておいた衣服を虎太朗に渡した。まぁ今着ているジャージもいいかもだけど外を歩き回るには不都合があるだろうと思うから…

まぁ洗濯乾燥機に頼っただけなのでシワになってしまうかもしれないけどそこは許してもらおう。


「ん」
受け取りながら虎太朗は小さく頷いた。それをリビングの机にそっと置いて、昨日みたいにもそもそとソファの下に座って僕のふともも当たりに頭を寄せてきた。


「こた?」
「……さっき…大型犬みたいって、言ったよね?」
もしかして気を悪くしてしまったのだろうか…でも考えれば犬よばわりは嫌だよな…と僕は思ってしまった。


「ごめん…嫌だった?」
「んん…」
首を虎太朗は横に振って、長身にあった長い腕を伸ばして僕の腰にくっついてきた。僕は脇腹辺りに顔を埋めている虎太朗の頭をそっと撫でた。


「由良…ペットとして側に置いて?」


「こた…」


「犬でいいし…」


僕は虎太朗の言葉に驚きを隠せなかったが…これからも側にいられるというのに…嬉しという気持ちが自分の中にあるのを感じた。


お世話をして甘えてくれるペットというのに強く惹かれた。普通に考えたら昨日今日あったばかりの男をペットにするなんて普通じゃないと思うけど…昨日の自暴自棄の気持ちが残っていたのか…気がつくと僕は彼を受け入れていた。


「こたがいいならいいよ」
そういうとぎゅうっと僕を抱きしめていた腕から僅かに力が抜けて虎太朗が脇腹から僕の肩にまで顔を上げて寄せてきた。


「ありがとう」
小さく虎太朗が囁くのが聞こえた。それから僕と虎太朗の奇妙なご主人様とペットの生活が始まった。


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