● ○ 勘違い王国〜どうして誰も気づかないのか〜● ○ 

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市場にはすぐついて色々見て回る内に分かったのはジラルドがテーブルに置いていった金額は余裕で一ヶ月は食べられる金額だった事だ。


{向こうで…5〜6万かな…よかった半分だけ持ってきてて…そんな大金持っているだけで恐いし…}
葵はごくごく一般的な家庭で育ってきているので5〜6万は大金だった。


色々市場を見ていってそれなりに安くて品のいいものを選んで買っていった。市場に並んでいる物は見たこともないような品々がならんでいる所もあれば、元の世界でもよく目にした物もあったので安心して買う事ができた。分からないものがあれば答も直ぐ返ってきたので試しに買ってみたりもした。



{言葉と文字が何故か分かっていてよかった…これで御飯が作れるし…}
葵の中では外食しようという感覚が全くなかった。


元々する方でもなかったし、素手で触れないような消毒液に浸された野菜やどんな製造工程を潜ってきたのかわからない加工肉を口にするより自分で作ったものを食べる方が何倍も金額的にも得だし、自分の好みに合わせられるし、身体にもいいしで自炊は葵の中では当たり前の事なのだ。




{あ…この店…}
葵はある店の前で立ち止まった。
{…お金まだあるし……ジラルドさんに悪いけど…ちょっとだけ買っておこうかな…}




全ての買い物が終わったのでかなりの荷物になったが葵はうきうきとしていた。


わりと家事が好きな方なのだ。



{何作ろうかな〜…夕飯はジラルドさんのも用意しておこうかな…でも好みわかんないしな…取りあえず作っておいて駄目だったらその場で聞いて作りなおそう。ダメだったのは翌日の朝食と昼食で僕が食べたらいいし…}
色々献立を考えながら葵はジラルドの家に帰って行った。


葵はこれでいてかなりの料理好きなのだ。今葵の頭の中は料理の事でいっぱいだが…これが葵の至福の瞬間なのだ。



家に戻ると買ってきた食材や調味料を各場所にしまった。ちゃんと冷蔵庫には冷凍庫もあったので振り分けて片付けた。



下ごしらえをしておかなくてはいけないものなどをどんどんこなしている内に昼になってしまったので簡単な炒め物を作って食べた。



{…綺麗にしてあるけど…端々が埃っぽいな…掃除…掃除…}
一階と二階の部屋を余計な物に触らないようにしながら片付けた。


途中で色々不思議な物を見つけたが…洗濯機…湯沸かし機…など見当をつけながら使い方をみてみたりした。そうこうしているうちにすぐに夕方になってしまった。



{夕飯作んなきゃ…}
恐らく…時計と思われる機械を見た…こちらも時計は60進法、お金などの数え方は10進法なので葵はかなり安心した…時計はもう6時を指している。


葵はサラダとドレッシングを作って冷蔵庫になおし、まずは初めての夕食なら…パスタとかの方が簡単でいいだろうと決めた。



お肉はどの肉が結局いいのか分からなかったので、全身の見た目が解る魚や貝などを買った。


今日は魚などを使ったスープパスタに決めて葵は作り始めた。初めてのコンロに四苦八苦しながら作った。新しい機器を使うのは大変だけれど葵にとって楽しい時間だった。思っていたより時間がかかりすでに7:30になっていた。


{一時間くらい…まってみようかな…居候の身で夕食を先に食べるのもな…}



そう思って、もう少しもう少し……と待っているうちに9:30が過ぎてしまったので温めなおして葵は先に食事を終わらせた。



パスタやソースは鍋ごと冷蔵庫にいれておいた。

 

 

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