● ○ 勘違い王国〜どうして誰も気づかないのか〜● ○ 

・・27・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「そう…ですか…あの………」
改めて相手の顔を見て葵は目を離せなくなってしまった。


「あっ…!…これ…ひどいでしょう?」
彼は右側の顔を隠すように手を当てると顔を俯けさせた。その綺麗な顔と手には薄くはなっているが隠しようのないケロイド状に火傷の痕があった。

彼は慌てたように左手でフードを深く被ろうとしたがそれより早く葵がそっと彼の右手に手を乗せた。
「…まだ痛むの?」
「…っ!!!…んん…もう全然痛くないですよ。心配してくれてありがとう…」
彼は泣き笑いのような表情になり葵の左手を両手で握ってきた。


「俺の姿を見ても…ちっとも動じないで驚かない日本人は初めてみたかもしれません…気持ち悪くないですか?」
「ん〜ん。全く。髪の毛は雪みたいで…目も夕日みたいに綺麗だよ」
彼はそれを葵に言われたと同時にはらはらと涙を零した。

「ありがとう。初めて理解してくれる人に会えました…まさかこんな異世界とは思わなかったですけど…」
彼は涙を手で拭うと嬉しそうな顔をした。


「僕もこんな所で日本人のこんな綺麗なアルビノさんに会うなんて思ってなかったよ…」
葵はほのかに笑んで見せた。

「綺麗だなんて…照れるな…こんな…火傷があるのに…」
彼は苦笑してぽつりと話した。葵には彼が何かを話したいと思っているように感じたので黙って彼が話始めるのを待った。

「…俺がこの火傷をした時必死に助けてくれた人がいるんだ…彼がいなかったら俺はこれ以上酷い火傷の痕をおっていたどころか死んでいたかもしれない…なのに…彼がこれを見る度に隠そうとしているみたいなんだけど…辛そうな顔をするのが…悲しくて……」
彼は思わず零れてしまった本音に自分で驚いたように黙り込んでしまった。


「ごめん…こんな話して…君にはつい本音でしゃべってしまったね。同郷だと思うからかな…」
彼は照れたような苦笑をもらした。

 

 *