● ○ ●勘違い王国〜どうして誰も気づかないのか〜● ○ ● ・・42・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ジラルドは葵より先に目が覚めた。腕の中には葵が小さな寝息を立てながら寝ている。年相応の寝顔が愛しい。
「…………はぁ……まいった……」
実の所ジラルドは昨夜、葵の体を綺麗にしてあげた時の記憶が頭から離れなかった。
そしてそのまま眠ってしまったのだが…体の熱が未だ冷めていない。朝という時間帯もあるだろうが下腹部が熱い。できるなら一度この熱を発散させたいが今自分の腕の中で安らかに眠っている葵を起こす事はジラルドにはできなかった。
腕を外そうとするとやはり葵の頭を動かさないといけない。葵は熟睡していたのでその位で起きるはずがない事がジラルドも頭の端で感じていた。
でもこの時間を自分から手放し離れるのは惜しかった。きっと今手を外して戻ってきてから、また一緒に寝る事もできたが…結局気まずくなってジラルドは葵の側を離れざるをえなくなるだろう。
しばらく背中を撫でてみたり髪をすいたりしてみたが、やはり熟睡しているのか葵が起きる気配はない。
ジラルドはそのまま少しだけなら…とかすかに大胆になっていった。
葵の額や瞼に軽い口付けを落とす。
そのまま唇にもキスをし、何度も角度を変えて触れ合わせる。
首筋や背中、腰にも触れた。
ジラルドの理性は細い糸でかろうじて繋がっているような状態だった。ここまでしているが、ジラルドは葵が目覚めていない以上これ以上はダメだと自分に言い聞かせていたのだ。
さすがに体をまさぐられ、何度も口付けされた葵はくすぐったさと息苦しさに目を覚ました。しかし開かれた葵の瞳はまだ夢の中を彷徨っている状態のそれだった。
「じらるど…さん?」
ぷち。
ジラルドの理性の糸が切れた瞬間だった。
「ふぅ………んぅ…っ」
ジラルドはまだ起きたばかりで呂律も思考回路もまわっていない葵の口内に侵入してただそこにどうしていいのか分からないようにある舌をからめ軽く吸い上げた。
突然の事に順応し切れないながらも葵はジラルドのわき腹の服を掴む。その葵の起きたばかりで暖かくなっている手の平の熱を感じ、葵の熱い口内をジラルドはさらに強く愛撫した。
舌を甘がみし、下唇を軽く吸い上げる。
「んっ…ぅ…んんっ…じら……っ!」
徐々に覚醒してきた葵はもうどうしていいのか分からない。
昨夜、ジラルドの看護のための口移しがファーストキスである葵には刺激が強すぎた。
どうしてこんな事になっているのか分からない葵は自分に対して暴挙に出ているジラルドに縋るしかなくて服ではなく肩のあたりに手を回した。それがいけなかった。
ジラルドは葵の反応を『否』ではなく『是』と捕らえ、葵の下腹部に触れる。
そのまま手は葵の服の中に入っていく。びくっと体を揺らすがジラルドは葵の体に巧みに触れていった。
その巧みさが今までのジラルドの経験を思わせて……返って葵を傷つけた。
何も言わずに事を進めるジラルドは葵のことで頭がいっぱいになっていた。いままでここまで熱くなかった事はなかった。
こんなに余裕なくがっつくようにしているのだから自分の好意を葵は分かっているだろう。
そして抵抗しないという事は受け入れてくれているだろうとそう思い込んだ。
ジラルドは思い違いをしていたのだ。
色事について何も知らない。
ジラルドが自分をどう思っているのかも知らない。
初心者だから言葉で示してくれないとわからない。
そんな葵がこんな性急な行為をジラルドが葵を愛しいが故の暴走だと気がつけるはずもない。
もしかして誰かの代わりなのでは?
もしかして昨日自分の看護をさせてしまったから彼女に会えなかったから性欲の処理をする為なのでは?
自分ならジラルドの世話になっているから誰かの迷惑になるわけではないと思われたのでは?
マイナスの方向にしか思考はまわらない。
自分が誰かにとって好意の対象になりえると思っていない葵にとっては当然の気持ちだった。
なんでこんな事をされているのか分からないながらも、もしかしたらもうこんな触れ合いができるチャンスはないかもしれないと思うと葵は結局、抵抗ができなかった。
ジラルドにとっては誰かの変わりだったとしても自分にとってはジラルドが好きな人だ。その人がどんな形にせよ望んでくれているのなら…と葵はジラルドの肩に顔を埋めた。
ジラルドは葵自身に触れ、一度出させた。
葵の後ろに触れたがあまりに葵が怯えるので葵のモノと自身を合わせて出し、その後素股でまたイった。
あまりに朝からの濃い行為に、昨日の疲れ、そして心理的な要因で葵は一滴涙を零し、そのまま意識を手放してしまった。
快楽の後だったのなら悲しみの涙も気が付かれないはずだ。
それならきっとジラルドも気に病んだりしないだろうと思いながら。
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