◇ 暖かい氷の瞳  

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デイビットとはまだ色々見て回りたいからと先に戻ってもらった。溜池の周りを水辺にそってのんびり歩いてみた。

水が近くにある事もあって木々の育ちがいい。柳はまだ肌寒いような感じもしていたが…今は春から夏に向かっていっているんだろう…そう感じた。

つい最近雨が降った事で多少気温が落ちているのだろう。そんな事を考えながら、水辺を見ていくうちに明らかに人工の物とわかる水路があった。恐らくここから水を引いて畑に渡して水源を確保しているに違いない。


「んじゃあ…ここって街にとって大事な貯水池って事かな…」
水の中を覗き込んでみたり、近くにある木々に触れたりしながら歩いて行く。

街から離れてしまっているが帰る時はまた今来た水辺通りに沿っていけばたどり着けるはずなのであまり柳は気にせずに進んで行った。すると泉の周りを半分位進んだ所に大きな広場があったのだ。

「わぁっ…なんだろうこれ…」
一瞬自然にできたようにも見えたがよく見ると明らかに人工的に作られたと思われる木々がない広場に出た。人工的に作ったといってもそれはかなり前の話しだろう。

周りの木や草などが広場との境目にあまり不自然に見えない。昨日今日にできたものではないという事だろう。あまり草が伸び放題になっていないのである程度雑草を抜いたりなど手入れをしているのだろう。


「何か目的があって作られているんだろうけど…」
かなりの広さがある。学校の体育館くらいより大きいかもしれない。運動場よりは狭いかなと柳は感じた。

その広場もぐるっとまわってみた。中央部分の土の色が少し黒っぽい位であまり特別と言えるようなものは全く見当たらなかった。


「なんなんだろ?ここ…全く想像できないんだけど…後でオーガスタさん達に聞いてみようかな」
やはり広場をみただけでは何も分からなかったので後でオーガスタやリリアナに聞いてみる事にして柳はその広場を後にした。


またそのまま水辺をぐるっと探検みたいにしながら歩いて行った。その間色々と想像を膨らませてみたが結局これだっと思うようなものは限定できなかった。


「おっ、元の場所に戻って来たか…」
デイビットと昼食を取った場所に出たのでこれで溜池を一周する事が出来たようだ。


「もう…夕方になるな…」
こちらにも太陽があるようで日が落ちて夕日になりかけていた。元の世界よりも若干太陽が大きいように感じる。


まぁ…太陽を直視する事は殆どないので正しい大きさなんて分からないが感覚的なもので柳は大きいかもしれないと思ったのだ。

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