☆ ★恋は盲目 ☆ ★

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結局飲み会は実施される事になって強制参加させられた。


俺を助ける為に開催されたものなんだから参加は義務づけられたのも同然だ。……というか木原女史に逆らえる術があるなら教えて欲しい。

といっても実施するにはかなりの度胸か捨て身の覚悟が必要だ。


なんか宇宙女が横に擦り寄って来たがほぼ相手にしていなかったので他のちやほやしてくれる男どもを従える事に快感を見いだしたらしい。

自己顕示欲を満たす為にここまでやれるのは宇宙女ながらあっぱれだ。


そういや…宇宙女の名前ってなんだったっけ?

…………ま、貴重な脳みそを必要ないものに費やすなんて勿体ないよな。どうせなら亮平の姿を記憶に焼き付けておく方に容量を使うのが有意義ってもんだ。


取り敢えずここに来たからには元をとらなくちゃな。傍目にはそんなに飲んでいないように見えたかもしれないが飲んで食いまくった。俺の胃袋に挑戦するならそれなりの覚悟を持ってこいってこった。




一次会はそこそこの時間でお開きになって何人か帰った。俺はもちろん帰るつもりだったが…


木原女史と仁にそして執念深い宇宙女そのとりまきにまで捕まって二次会、三次会まで付き合わされた。いくら俺がザルでもワクには勝てん。



ベロベロに酔った宇宙女を俺が押し付けられた。仁と木原女史はもう一軒行くぞ〜と張り切っていたのだ。いくらワクでもほろ酔いはしてきたようで…いくらなんでも俺もこれ以上付き合わされるのは勘弁だった。


しかし俺を宇宙女から引き離す為に開催されたのに結局連れて帰らなくちゃいけないなんてツイてないにもほどがないか?


というか本末転倒ではないか?宇宙女の取り巻き達はすでに奴らのペースに付いていけずに戦線離脱していってまともに起きている奴いないし。男なんだから打ち捨てても誰も文句は言うまい。成仏しろよ〜


…あれ?


宇宙女の名前すらまともに解らない俺がこいつの自宅なんか知るはずも無いよな?


あれ?


もしかして俺は助けられたのではなくてあの二人に陥れられたのか?こうなったからには俺の家にこいつを連れていくしかないじゃないか。


うぇ〜やだな〜自宅に連れて帰ったら最後宇宙の電波を受信しているらしいこの女がどんな反応を示すのか想像もできん。


はぁ…女を放置して帰ってなんかあったら面倒臭いからな…仕方が無い明日朝早くでも追い出そう。朝なら女一人でも襲われたりしないだろうしな。


酔っているが故に俺はかなり鬼畜な事を考えていた。




「ただいま〜…」
誰もいないのだろうと思っていても思わず挨拶をしてしまった。はぁっ疲れた。俺は女をソファに取り敢えず降ろして溜息を着いた。



「…おかえり〜…」
うぉ?亮平?あれ今日はこっちに泊まっていたのか?眠そうにしているって事は今まで寝ていたんだろうな。いるの分かっていたら静かに入ってきたのに…って……あぁ!!!まずいっ!!俺女を連れ込んでいるっ!!!誤解されるっ…!!?



「この人…学祭でミスに選ばれた小林さんじゃない?うわ〜かなり酔っているね」
宇宙女の癖になんて普通な名前………っじゃなくてっ!!


「あ…あのな。こいつの送り先が分からないから仕方なくここに連れて来たんだぞ?」
本当の事なのにっ口に出せば出すほど嘘っぽいっ!しかし俺の懸念を余所に…



「女の子だもんね。酔っていたりしたら危ないもんね」
亮平は割とあっさり信じてくれた。


あれ?


あんなに慌てた俺って…でも……思考の海を漂っていた俺を余所に亮平はタオルケットを持って来て彼女にかけてあげていた。そして俺に水を持って来てくれた。



「はい。お風呂さっきスイッチ入れておいたからそろそろ入っても大丈夫だよ。着替えは洗面所に用意しているから入って?」
「んっ…あぁ…ありがとう。…亮平も寝てていいよ」
「うん。そうする。おやすみ」
小さな笑みを零すと亮平は寝室の方に行った。


「あれ?」
風呂に入りながら考えるが…もし俺が亮平の立場だったりしたら仕方が無いと思っていても…


猛烈に嫉妬する。女だろうが男だろうが…。

もしかして俺って亮平の中で本当にお友達?それ以下でもそれ以上でも無く…一応…俺はそれ以上になれたと思っていたけど…う〜酔った頭で考えても解らないっ!俺はザバサバと顔にお湯をかけた。



「…もう上がったの?」
亮平が寝ていると思ってそろりそろりときたが…どうやら寝ていなかったみたいだ。


「ごめんな」
「いいのだ。少し早めに寝てたし…」
「酒臭いだろ?」
「ん〜ん。大丈夫」
そう言って亮平は俺の方に身体を少し預けてきた。くぅっ…少しまだとろんとしていて可愛いっ。


思わず俺は両手で亮平の髪を撫でて、そのまま背中や肩も優しく撫でた。すると亮平は気持ちいいのかくったりと弛緩して俺の胸に寄り掛かってきた。


「…気持ちいい?」
「…うん…大好き…」
こんな時の亮平は本当に可愛いっ。頭から食べられそうだ。ちょっといくらなんでも俺も酒が入っているし使い物にならないのでしばらくそれを続けた。


流石に酒臭い口での口付けはかわいそうな気がしたので…額や頬、耳に首などにそっとキスを落とした。



亮平もその気があるわけではないようで俺のまだ湿っている髪に細い両手を差し入れたり、顔に触れてきたりする。



ひとしきり触りあった後に俺がもたなくて眠ってしまった。

 

 

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