■ □ よよいの酔い■ □ 

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「!?」

「付き合おう」

はぁ〜!?脳みそわいたんじゃね〜のか!?

「俺の言った事理解してねぇの?それとも責任感からか?なら心配無用。女じゃないんだから、気にする事ないし」

そう言って彼の腕を外そうとしたら更に強い力で俺にしがみついてきた。

「付き合おう」

彼は馬鹿の一つ覚えのように同じ事を繰り返した。

「さてはまだ酒が残っているんだろう?」

「酔ってないよ。付き合おう」

「酔っ払いは必ずそう言うんだよ」

でしっとでこを叩いてやった。これで正気に戻ればやすいものなんだが…世の中そんなに甘くないもんだ。


「付き合おう」

「わぁ〜っ!!」

ぐいっと引っ張られたかと思ったら俺はどんな早業をつかったのか彼に組み敷かれていた。

「付き合おう」

「わ〜かった。もうわかったよ。ったく酔っ払いがっ!!」

「酔ってない。かなり本気だぞ?酔っていなんかいない!」

「あ〜酔ってない、酔ってないな…」

俺はこの聞き分けのない色男の面倒をみるのが面倒臭くなってきてしまった。


「付き合ってもいいけど、俺達が付き合う事を友人知人他人家族学校バイトあらゆる先での口外一切禁止だ。それでいいなら、付き合ってやる」


そう全ての出来事を存在しないものにしていれば別れた時に苦労しなくてすむ。これが承諾できないんならそもそもから無理があったって事だ。諦めてくれ。

「……言ったらダメなのか?」

「ダメっ」

って誰にご報告するつもりなんだよ!?男女ならまだしも男同士だぞ?最近はかなり受け入れられているが…大声で宣伝してまわる事ではないのは確かだ。

「わかった。仕方がない…それでいい」

「仕方がないって…当然のことだろう?んじゃ、俺はシャワー浴びてくるから」

ようやく緩んだ腕から俺は慌てて抜けだした。そうしてすぐにバスルームに逃げ込んだ。くぁ〜…なんか面倒な事になっちまったな〜…はぁ…





奇妙なすったもんだの末に何故か付き合う事になってしまった。とにかく相手が早く飽きてくれる事ばかりを思った。



付き合うことになったのだからと携帯の番号にアドレスを強制的に交換する事を余儀なくされてしまった。ったく…別れた時に面倒くさいからアドレス交換だけで終わらせたかったのに…

「付き合うことになったんだし、そっちの条件は飲んだんだからこっちの条件も叶えてよ。相庭 英詩(あいば えいし)だから一番にくるはずだから分かるだろ?」

有無を言わさず俺の…来生 京介(きすぎ きょうすけ)の携帯を取り上げられて全部情報を取られてしまった。

別れたら携帯かえないといけないかな〜面倒だな〜金かかるな〜何てことを考えた。

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