■ □ ■よよいの酔い■ □ ■ ・・3・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それから数日後に俺達は出かけることになった。
「お待たせ〜」
「お前から誘っといて遅えよ!」
相庭は時間ぴったりに来た。俺は10分ほど早めに来ていた。ちなみに楽しみにしていたのではなくて時間ぴったりや遅れて来るというのが性格上できないだけなのだ。
その日は本当に普通の友人と出かけるのと変わりのない一日をすごすことが出来た。
「あの映画…よかった…」
「そう、あの映画はお勧めだったんだ。気に入ってくれたなら嬉しいよ」
映画に行ったり、店を廻ってみたり、ランチをしたり…思っていたとおりこいつはモテるみたいだ。エスコートの仕方がものすごくうまい。そして会話にも飽きさせる事のないユーモアさが溢れていた。
「はははっそんなはずないだろ?」
笑うつもりなんかなかったのに俺は笑っていた。
「本当だって!!あれってかなり真実みたいだよ」
「マジで?」
「マジマジ!!」
俺は付き合っているなんて事を忘れそうになるくらい楽しいひと時を不覚にも過ごしてしまった。
しまった…俺はこの出かける日を狙って嫌われるように仕向けようと思っていたのに…反対に俺が好感を持ってしまった。これじゃあミイラ取りがミイラになったものじゃないか。…仕方がないか…楽しかったのは本当のことなんだから。そこは認めてやらないとな。
「あの店うまかったな」
帰りが思ったよりも遅くなってしまったので夕食まで食べてきたのだ。俺からしたら久々のヒットの店だった。
「そうだね。俺的にはあのスープがツボだったかな?」
「確かに自家製って感じでよかった」
夕食も食べ終わって自然相庭が俺を自宅まで送り届けてくれた。相庭なら自宅を知られてもいいと思っての行動だ。気にいらなければ出かけ先ではいさようならだ。
今日のデート資金は相庭が全部払ってしまった。俺も出すといったのだが相庭は遅れたお詫びにと言って一切俺に金を出させなかった。遅れたと言っても相庭は時間通りに来ていて俺が勝手に早く来ただけなのに…申し訳なく思ったところもあるが相庭がいいと言っているのだからありがたくその好意を受ける事にした。
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