■ □ よよいの酔い■ □ 

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「はぁっ…」


すっきりは…全くしてないけど…気ははれたかな…あ〜とにかく相庭とはさっさと友人としても別れてしまおう。すっぱりきっぱり別れない事には 何にも始まらない。多少今きつくても継続的に辛いよりも状況はいいはずた。頑張ろう…。



思い立ったら吉日。うじうじしてたら俺の事だからいつまでもきっぱり別れる事ができなくなってしまうだろう。

「よし!!早速言いに行くか!」

彼から振られるよりも自分から言った方が何倍も気が楽だ。卑怯者かもしれないけれど…俺にとっては誰よりも大事になってしまった人との離別であるが相庭にとっては大勢いるうちの友人の一人に過ぎないのだから相庭にとってダメージなんてあってないようなものだろう。


「嫌になるね…」

その他大勢のうちの一人と思ったら、また目が潤んでくる事を感じたが無理やり押し込めるように上を見た。泣くのは後からでもできる。むしろ今から泣くなんて卑怯にも程がある。

強がりを言うのは慣れた。というよりもそうする事が一番自分の心を守る事ができるのだ。俺のそんなに数は多くないが今までの経験上で悟ったことだ。

「男でも女でも惚れた奴がまけだよな…」

自嘲しながら俺は相庭を見つけるべく構内を再び歩き始めた。彼と別れるために。




「…さて……どこにいるのかねぇ…」

なんとなく黙っている事が自分自身で気詰まりでぶつぶつと独り言を言ってしまった。かなりイタイ奴と思いながらも小声で回りに聞こえないような声でしゃべってしまう。

掲示板を見に行くとどうやら相庭はまだ講義中みたいだ。もうすぐ終わるみたいだから…相庭が今日、女どもと飲みに行ってしまう前に捕まえて話を終わらせてしまおう。

相庭も飲みに行かなくてはならない約束があるのであればさっさと終わらせたいだろうから短い時間で解決するだろう。それは俺にとっても相庭にとってもいい事のはずだ。




しばらく講義が終わるまでの短いようで長い時間を待った後、まだもうすぐ講義が終わるだろう講義室の前にきた。そわそわしていた俺は終わる時間よりも10分ほど前に来てしまった。

だぁ!!いまからなんつって分かれたらいいのか言葉がグルグルしてやがるっ!!あぁもう早く終わってくんねぇかなぁ……


そう思いながらも俺自身、心の奥底ではこの講義が終わらなければいつまでも彼との関係を解消しなくても済むのではないかなんて考えてた。




講義が終わったらしく講師が出てきてにわかに部屋の中が騒がしくなった。その騒がしさに比例するように俺の心臓もどきどき騒がしくなってきやがった。


(落ち着け〜焦った様に言うなんてかっこ悪い…卑怯者でも最後くらいかっこよくきめさせてくれよ〜〜)

次々と出てくる人の中から相庭の姿を見つけた。…まだあの時の女どもがくっついている。胸の痛みを無視するようにその人ごみに向かっていった。

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